ラグビーワールドカップ2019神戸開催を成功させよう!Let's make a success of Rugby World Cup 2019 in Kobe!

 

忘れられない場面がたくさんある。関わった人の数だけ思い出がある。どのシーンを切り取っても、いい顔をした人たちがいる。ラグビーワールドカップ(RWC)日本大会は、何度も何度も思い出したい大会となった。筆者は全試合を中継したJSPORTSのコメンテーターとしてのピッチサイドレポート、放送席での解説など務めた。
海外のサポーターに交じって日本以外のチームを応援する日本のファンに感動し、日本代表への声援が勝つたびに大きくなることに胸を打たれた。
2戦目のアイルランド戦、3戦目のサモア戦はピッチからレポートしたが、頭上から降り注ぐ大歓声のシャワーを忘れることはできない。

思わず涙がこぼれたのは、初めて決勝トーナメント進出を果たした日本代表が、南アフリカと対戦した準々決勝の国歌斉唱だった。日本のサポーターが君が代を叫ぶように歌ったのだ。国歌については複雑な感情を抱く人々がいる。
だが、あの瞬間の観客席はただひたすらに日本代表を後押ししたいという思いだけがあった。大型ビジョンにSH流大(ながれ・ゆたか)の泣き顔が大写しになったとき、涙があふれた。

そんな雰囲気を作ったのは日本代表の快進撃だ。プール戦4連勝は周到な準備とハードトレーニングの賜物だ。日本代表は2015年大会のプール戦で3勝をあげながら、勝ち点差で決勝トーナメントに進出できなかった。悲願成就のため、2016年からは「世界一過酷」と称された前体制を超えるハードトレーニングが課された。
2019年の日本代表選手たちは200日以上生活をともにし、勝つための戦略、戦術を頭と体に叩き込み、満を持して開幕戦を迎えた。
開幕戦(9月20日、東京スタジアム)のロシア戦は緊張からミスが相次いだが、松島幸太朗のハットトリック(3トライ)もあり、4トライ以上のボーナス点を獲得する勝利で切り抜けた。

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、「振り返れば、あの試合が良かった」と話した。精神的に追い込まれた状況で、思うようなパフォーマンスができない中で勝利した。それによって、第2戦(10月28日、静岡エコパスタジアム)は思い切ってリーチ マイケルキャプテンを控え(リザーブ)に回して後半に備えさせ、ピーター・ラブスカフニをキャプテンにすることができた。結果的に途中出場に奮起したリーチの活躍が流れを変えた。開幕時は世界ランキング1位だったアイルランドに勝ったことで日本代表は勢いに乗った。

決勝トーナメント進出を決めたスコットランド戦は、すべてのトライに反復練習の成果が出ていた。松島幸太朗の先制トライは福岡堅樹がオフロードパスを決めたもの。前半26分の稲垣啓太のトライも、堀江翔太、ジェームズ・ムーア、ウィリアム・トゥポウがオフロードパスをつないだ。
「オフロードパス」はタックルされながら次の選手に荷物を下ろすようにパスするところから、「オフ・ロード(荷)」と名付けられている。繰り返し練習してきたスキルだ。40分の福岡のトライは、ラファエレ ティモシーが防御背後にキックを使って福岡を走らせた。防御背後にキックを使う戦法は、2016年からずっと試合で使い続けてきたものだ。
そして後半3分の福岡のトライは、ボールを持つ相手の腕に手を差し込み、引っこ抜いてボールを奪う独走だった。このスキルもニュージーランドからコーチを呼んで練習したものだ。相手チームの的確な分析、勝つための技能の習得など周到な準備こそが快進撃を支えた。そして、ファンの大声援が後押しした。

日本代表は体格のハンディを、猛練習とスピードと技で覆した。大きなサイズが有利だと言われてきたスクラムでも8人でまとまることで互角以上に組み合った。世界中のメディアやコーチがその戦いぶりを称賛した。そして、出身国が7か国にまたがる多様性のあるチームが結束して強豪国に挑む姿に多くの日本人が胸を熱くした。反則が少なく、フェアに戦ったことも誇れるところだ。相手を怪我させるような危険なプレーもなく、レフリーにクレームを言うこともない。フェアに戦い続けた日本代表の快進撃が、日本で初めて開催されたラグビー世界一決定戦の価値を高めた。

日本国民の心を鷲づかみにしたのは、フィールドでの激しいプレーだけではない。試合後、両チームが健闘を称え合う姿、観客席にお辞儀をして感謝を示す仕草などスポーツが本来持つ清涼感を運んだ。「ラグビーって、こんなに面白かったのか」という声を何度も聞いた。

RWC日本大会は興行的にも大成功を収めた。観客動員数は延べ 170 万 4,443 人、1 試合の平均観客数は 37,877 人(台風で中止となったプール戦 3 試合を除く)。最多観客動員は決勝のイングランド対南アフリカ戦の70,103 人で、これは同会場の歴代最多動員記録を塗りかえた(従来の記録は、2002年FIFAワールドカップ決勝)。チケットの販売率は約99.3%。これらの実績は、日本大会が、世界中から高い関心と注目を集めたことを示している。テレビの視聴率も、日本対南アフリカ戦を放送したNHKが平均で40%を超えた。また、日本各地に設けられた16のファンゾーンへの累計入場者数が、RWC2015で記録した100万人を超えた。

神戸のメリケンパークに設置されたファンゾーンもにぎわった。筆者も伺ったが、日本代表のない日も盛況だった。ミュージシャンのライブも行われ、2016年に亡くなった平尾誠二さんのコーナーでは訪れた人々が足を止め、写真や着用のジャージーなどを感慨深げに眺めていた。平尾さんにメッセージを書くコーナーもあり、筆者も書かせてもらった。「平尾さん、ワールドカップ盛り上がっていますよ。うれしいですね」。

神戸市御崎公園球技場では4試合が行われ、以下のような観客動員を記録した。
9月26日(木)イングランド対アメリカ=27,194 人
9月30日(月)スコットランド対サモア=27,586 人
10月3日(木)アイルランド対ロシア=26,856 人
10月8日(火)南アフリカ対カナダ=28,014 人

多様な民族、人種が融合した南アフリカの優勝で幕を閉じた大会は好印象の出来事が多かったが、決勝で敗れたイングランドの選手数名が、すぐにメダルを外したことが物議をかもした。メダルを外した行為自体を批判するのはいい。
しかし、だからイングランドが優勝できなかったというのは違う。外した選手がどんなものを背負って戦ったのか、心の内は知るすべもない。もしかしたら、すぐに後悔したかもしれない。
10年後、20年後に外すべきではなかったと思うのかもしれない。あの行為について考えさせる力がラグビーにはある。そう信じたい。だからこそ、RWC日本大会は、人々の心をつかんだのだから。ラグビーは人の心を開き、素直な感情を表現させる。ラグビーは感情のコントロールを学ぶスポーツだと改めて感じる44日間だった。

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村上 晃一氏 プロフィール
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年、15年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。
著書に、「ラグビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。

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